わたしと小指と膣と

2016.08.20


小さい頃小指が大嫌いだったからよく小指を内側に折り曲げて視界に入らないようにしてたんですよ、小指だけを曲げようとすると薬指もちょっとついてくるじゃないですか、他の指は一本ずつ折り曲げれるのに、小指だけなんですよね、小指だけは一本で曲げることができない。そんな愚かな姿を見て、お姉さん指についてきてもらわないと1人でいつもと違うところにも行けないのか、そんな指はわたしには必要ないと思ってて小指いつか切り落とすって幼いながらに、いや幼いからこそなんですけど本気で思ってたし、かわいがっていたゴム製の人形の小指は大抵切り落としてあげてた

まあ自分で爪を切るようになってからは小指は小さいからといって爪切りで一気に行こうとすると痛いから甘く見ちゃいけないなとか、I love youの指サインとか、小指を立てなきゃゲッツだから、一発屋芸人のギャグに小指を足すことでアイラブユーなんてお前すげえな、とか、ネイルをするようになってからは一発でカーッて塗れるから楽、小指は女子の味方だなって思うことはあったけどまあ常に手のことを考えて生きているわけもなく小指とも大きくなるにつれ和解をした、といえば聞こえはいいけど成長とは悲しいもので実際は小指を"命"から"モノ"と捉えるようになっただけですからね

それから数十年、ほんとうにおとといまで小指を憎んでいたことすら忘れてパソコンのエンターを勢いよく打って生きていたんですけど、最近大人に怒りを覚える出来事があって、その激しい怒りと同時になんだこれデジャビュ、わたしはこの怒りを前にも経験したことがあると思って、でもそれがいつどこでだれに対しての怒りかが思い出せなかったんだけど、おとといふとわたしって昔小指が嫌いだったなって、上に記されている小指への怒りエピソードを思い出して、それでわかったことがありましてそいつはつまりわたしのあの時の怒りの対象は薬指だったんだなというこたぁです。小指はあの時確かに1人で曲がろうとしてた、それをさせなかった薬指に対しての怒りです、小指は焦りもあったと思う、はやくみんなみたいに1人で曲がれるように頑張ろうってそして21年たちますが、未だに薬指はついてくるし、小指も1人で曲がれてない、同じわたしの肉体である骨は四方八方にニョキニョキと伸び、おっぱいも多少なりとも生えて、今まで一切の侵入を許さなかった面積の皮膚も毛の侵入を許し、みんなよくも悪くも変わっているのに小指はなんにも成長できていない、幼いころのわたしは自分でも分かってなかったっぽいけど小指に自分を重ねすぎてて憎かったけど、1番大事な体の一部でもあったのか、切らなくて正解だったな、今後何かの拍子に取れてしまったらイヤだな、泣いちゃう、昔粗末にしてたぶん、責任持って守ります、手始めに信頼と実績のコーポ口腔103号室(読み方:×コーポロちつ ○コーポこうこう)への強制入居を決めたので、これで外部からの刺客にも安心ですよ小指、え?お前それやってること薬指と何も変わらないだって?そら違うでホンマかんにんしてや、わたしは小指に他の指は行ったことのない場所に行かすきっかけを作っただけじゃん、小指の上京…いや上口腔に手を貸しただけじゃん、夜行バスの運転手程度の活躍じゃん、まあそんなことはさておき一人暮らしを始める小指、君に一つ言っておきたいことがある。よく聞いてほしい、君は今、焦っているね。周りが成長していく中、21年間何も変わってないと思っているね、でももう少し視野を広げて下を見てみてほしい、そう、そこ。そこにあなたの家(口腔)にそっくりなところがあるでしょう?そこはね、膣と言ってね、そいつは君とは逆で外部からの侵入を経れば経るほど成長するタイプの奴で、まあ悪いやつではないんだけど、そいつだって全く21年間変わってないし、なんならお前以上になんにも考えてないから少しは力を抜いてもいいんだよ、じゃあ、わたしからはこれだけ。今日はゆっくりおやすみ、ギィー(コーポ口腔103号室のドアが閉まる音)